Column コラム
真のグローバル化の時代
2010.3.20

今、企業業績が低迷から上向こうとしている。そのキーワードは何か・・『グローバル化』である。

企業の業績が回復傾向にある。果たして、リーマンショック以前のような状況に戻るのだろうか?  答えは、否だと考えている。どうしてそう考えるのか。

まず、企業業績が上向いている要因として-
1.人件費を始めとした経費削減の徹底
2.国内生産・製造拠点の海外移転・現地化の推進
3.コスト削減を目的とするアウトソーシングの実施
4.新興国経済成長の恩恵享受
5.日本政府の一時的援助策

国内の景気がなかなか上向かない要因として-
1.デフレ経済の進行
2.派遣・請負削減による雇用機会の減少
3.所得格差の拡大
4.購買力の低下

等々が考えられる。これを更に掘り下げてみる。
企業でアウトソーシングや海外に移転している業務を担っていた労働者層というのは所得金額400~600万円の労働者層、日本の労働人口の一番多い層である。要は、この層の担っていた仕事が海外やアウトソーシング化により、日本国内からなくなっている。

まだ、仕事を移転する企業側はいい。しかしながら、その仕事を担っていた労働者側はどうなるのか?一緒に海外に行くことは出来ないし、他の仕事に移っていくしか方法がない。
その移転先が派遣や請負だった訳だが、その派遣や請負先も業績低迷により少なくなっており、更に低賃金の仕事やパートに就かざるを得なくなっている。この状況が、"富める者は益々冨、貧なる者は益々貧"という国内の所得格の拡大を助長し、購買力の低下につながっている。既に、お分かりのように、今回のデフレは現象ではなく結果である。

この流れから想像できることは何か?
もう以前のような状況には戻らないということである。"ユニクロが売れ、デパートが売れない"、当然である。購買力が落ちているのだから、購入できないのである。"せいぜいユニクロならば購入できる"程度の所得者が増えてきているのである。

では、どうするのか。
答えは簡単ではないが、事業がグローバル化をしているのであれば、人材育成にもグローバル化の視点が必要である。人材育成システムの中に、人材をグローバルに育成していく仕組みを組み入れていかないと、これから必要となるべき人材を確保できないことになる。勿論、従業員にも同じ意識を持って貰う。(そうしないと、企業・従業員双方にとって不幸になる)

それから、これから企業に就職をしようとする学生にも、同じ視点が必要である。
昨今、自分のやりたいこと、長所、強みを発見し、将来、どのような仕事を目指すのか、というキャリアの教育は盛んになってきているが、その中にグローバルな視点が欠落している。"一般事務、勤務は東京"、というような仕事はもうない、ということを認識して仕事を選んでほしい。
いや、本当は、そういう環境にあることを認識して、これからの自分に何が必要なのかを理解して、日々を過ごしてほしい。当面は、趣味の世界であった英語が、グローバルなビジネスの世界では必須となることを理解し、学生時代に英語力の強化をは図ってほしい。

今、企業と人材が共に、この環境を理解することが真のグルーバル化に繋がるのである。