2010.5.20
リーマンショックから日本経済が回復しつつある。(ギリシャ危機はあるが、リーマンショック程ではないという・・)では、もう一度リーマンショック以前の状態に戻るのであろうか?バブル経済危機以前と以後を比較してもわかるように、同じ状態には戻らない。
しかし、人材の空洞化、グローバル化はますます進展し、雇用情勢は以前のレベルまで改善しないだろう。新卒採用は抑えられ、既存の社員の仕事はますます増えていくか、或いはアウトソーシングで外部に委託することとなる。併せて、一人の社員にはより高い生産性が求められる筈だ。
40代社員。言わずと知れた「バブル崩壊以前」入社組である。上からは高い成果を求められ、下からは突き上げを食らう世代だ。一般的に考えても、残りのサラリーマン生活約20年。この20年をどう生きるのか、独立や転職しようにも意欲がない、このまま会社にいても将来の昇進も見えてこない、悩める世代といわれる所以である。企業にとっても、新卒の採用が絞られ高齢化が進展する中で、この年代をいかに活性化するかが重要なテーマとなっている。
連合総研が実施した「第19回勤労者短観」によると、40代の社員が34.4%と他の世代に比べて最もリストラされる不安を感じているそうである。
40代と言えば企業では、中間管理職が多い年代、しかし、現実にはその中間管理職として求められる役割の変化についていけない状態ではなかろうか。
このまま上司と部下の間に挟まれて、我慢して20年間会社に依存して生活を送っていくべきなのか・・
実は、この40代こそ自分のキャリアを真剣に考えなければならない年代だ。年功序列、終身雇用の時代、自身のキャリアは会社任せでも問題はなかった。しかし、会社が将来を保証しない今、会社に依存するのではなく、自らが考えていかなければならない。
キャリア危機 -- 「気が滅入り、落胆した状態。あるいはガソリンが切れて、モチベーションを失った状態であり、彼らは彼らの仕事に興奮が得られず、もし経済的に実行可能なら劇的なキャリア転換さえ夢見る時期である」 -- これはアメリカの組織心理学者エドガー・シャインが、40代について評した有名な言葉である。この状態が中期キャリアの危機と呼ばれている。
組織内の40代は、それまでの頑張りにより組織の中で一定のポジションについているが、それ以上の昇進の可能性や能力の伸長、新しい仕事へのチャレンジ等々はもう難しいだろうという一種の高原状態に陥ることが多い。このような状態に陥った場合は、残された20年が棘の道となる。この状態を危機と認識し、40代からのキャリアをどのように開発・利用していくかが、まさに人生のターニングポイントとなろう。
40代までは、がむしゃらに頑張ってきた。40代以降は、キャリアの視点からその知識や経験をベースに、自分のアイデンティティーを探していくことができれば花の道となる筈である。