今週の月曜日の日経新聞のトップの記事から...
子育て世代で、働く女性が過去最多となったそうです。
記事の内容は、35~44歳の女性のうち就業者と求職者が占める割合が
71.3%となったということであり、これは前年に比べると1.6ポイントの
上昇となっている。子育てのために離職をするこの年齢層で70%を
超すのは初めてであり、景気回復で働き口が増えたことと、保育所の
増設などで子供を持つ女性の働く環境が改善したことに起因している
ということである。女性の活用が叫ばれている状況の中で、育児支援の
増加が女性の職場復帰を助けていることの証左であろう。
是非、今後共この傾向が継続してほしいと願うものである。
その反面、同じトップ面に「東京五輪の陰で」という特集記事が組まれ、
その中で「24%が65歳以上」、「介護離職防げ」という小見出しが目に
入ってきた。
この小見出しに記事は次のような内容である。
⇒少子化が続く日本。20年には東京都の人口も1336万人のピークに達し
減少に転じる。前回の五輪が開かれた1964年に4.2%だった都の
65歳以上の割合は24%に跳ね上がる。
⇒1960年代は65歳以上の高齢者1人を15~64歳の10人の働く世代が
支えていた。この負担が20年には「2人に1人」に近づく。高齢化は
社会を支える人々の生活さえも一変させる。
⇒京都市に住む守口三郎(仮名、51)は働き盛りの41歳で安定した
会社員生活をあきらめた。「認知症を患い、家のまわりを徘徊
(はいかい)する母を独りにできない」からだ。以来、独身の守口は
母親と同居し介護に専念している。細々と続ける保険代理店の
収入では生計を立てることができず、日々の生活は身内からの
仕送りで賄う。
⇒総務省の就業構造基本調査をみると、ここ数年は年間8万~10万人が
介護や看護を理由に仕事を辞めている。
みずほ総合研究所の試算では65歳以上の要介護認定者数が20年には
10年比5割増の528万人に達する。少子化で減る働き手。介護離職に
拍車をかける高齢化は日本の活力をそぐ。
育児の問題と介護の問題、共に少子化と関連する問題である。
しかし、育児の問題が、明るく前向きな解決策であるのに対して、
介護の問題にその気配は感じられない。企業側も育児に対する
取り組みは競うような勢いがあるが、介護に対する取り組みは
やや腰が引けている感がある。従業員の中でも、育児は市民権を
得た感があるが、介護に関しては、まだまだ、水面下に潜っている
状態である。
育児により離職する層と介護により離職する層は同じ年代であり
この状態は将来の労働者問題、雇用問題となって現れてくることは
必至であることを考えると、社会として企業としての真剣な取り組みが
早期に期待されるものである。