Column コラム
何のために仕事をするのか?
2011.4.16

社会貢献を面接で語る学生を皮肉ってる場合じゃない件について - 女。MGの日記。 - BLOGOS(ブロゴス) - livedoor ニュース.

前回のブログの記事を書いてから、ほぼ1ケ月が経ってしまっている。前回までは、今の就職事情とか、雇用環境に関して、見聞きした記事についてブログにコメントを残してきた。

それが、3月11日を機に一気に変わってしまった。周囲も、長く続いたリーマンショックからようやく立ち直りつつ、経済も上向いてきた矢先の大地震である。リーマンショックがアメリカ発であることに比べ、今回の地震は日本発であるり、日本経済や雇用への間接的な影響はこれからが本番になるであろう。

大学生にとっては、4月の選考試験に向けて、活動が本格化しようとしていた矢先である。地震の影響や復興支援のために殆どの企業(大企業中心として)の選考時期が4月から6月に変更されたことで、学生にとっては選考が単純に延期されただけではなく、就職が決まらない学生にとっては卒業まで猶予された期間が短くなり、就職がより厳しくなったと言われている。加えて、東北地方の企業は学生を採用できる状況にはなく、2011年4月に入社する予定だった学生も内定を取り消されるという事態が発生している。

では、単純に就活が2ヶ月間後ろ倒しになり、厳しくなったということだけであろうか?いや、そうではないと思う。3月11日は全ての社会活動にとってエポック・メイキングな出来事だったと考えるべきではないだろうか。

昨日まで存在した街が無くなる、家が無くなる、企業がなくなる、それまで機能していたものが突然に機能しなくなる、その場面に遭遇して、それまでとは異なる価値観の必要性を感じた学生も多い筈である。就活において、会社とは何なのか、働くこととは何なのか、仕事とは何なのか、全く違う考え方で見ていく必要性を感じた筈である。

従来はとりあえず大学も出た・・という理由でエスカレートに企業に入社し、その中で少し優秀な学生は大企業、安定した企業、給料の高い外資系企業へと就職していくのが一つのモーメントであったが、その流れが崩れてくるのではないだろうか。前傾のブログにもあるように、インターネットを通じて、世界の出来事は瞬時に理解できるような時代の中で、学生本人が自分をモチベートできる仕事について考える流れが、強くなってくるのではないかと思う。ハッキリ言える事は、それが「家電」品を作ったり、銀行員として「預金」を獲得する仕事ではないことは確かだということだ。

3月10日までは安定企業の代表と言われた「東京電力」が起こした人災とも言える原発事故。発生した事実を正確に伝えることもなく、放射能で汚染された水を堂々と海に垂れ流し、説明責任を果たさない経営トップ、正に、企業の体をなしていない。昨日まで、「安定性」、「知名度」ということで選択されていたものが、会社とは、という視点から考えていかなければならない顕著な例である。

新しい価値観や感性を持つ学生にとって、自らの感じたもの、描いたものが企業活動にはないかも知れない。それが社会貢献であるかもしれない。または、自ら事業として行動を起こしていくことかも知れない。そういう意識の変化を企業側もキャッチしていかなければならない。そういう学生は、少なくとも、我々の時代より、変化への感性や時代の中での創造性は高い学生の筈である。