Column コラム
2011-12-10

新卒一括採用の消滅!? ユニクロが検討する「大学1年生採用」の衝撃- Yahoo!ニュース.

今週、「ユニクロ」の大学1年生採用のニュースには驚かされた。
個人的には、採用のあるべき姿が逆に向いてしまった感じがしてならない。
企業側の人材戦略上の都合もあるのだろう。

能力の高い人材を早期に育成する意味からも、有意義な制度なのであろう。
ユニクロという一企業にとってはである。

こういう制度をユニクロだけが採用するのであれば文句はない。
しかし、殊、採用に関しては一つの企業にとどまることなく、業界を越えてかなりの数の企業が同様の仕組みを取り入れることが考えられる。それは今の採用動向を鑑みても、想像に難くはない。
どの企業も能力の高い人材を確保したいという想いは同じだからである。

そう考えると、今の採用シーズンが単純に、3年生の後半から1年生に繰り下がっただけのことだ。
企業はもとより、学生にとっては何のメリットもない。デメリットが大きすぎる。
苦労して大学に入学して、いきなり「就職」という次のステップへの「関門」が待っている。
運よく自分の理想とする企業に内定することができた学生はいいが、内定することができなかった学生はどうするのか?残りの学生生活を何を目標に置けばいいのか?

1年生の時がだめなら、2年生、3年生とチャレンジすればいいのでは・・という意見もあろう。
しかし、どの企業も採用年次のターゲットを1年生に置くために、2年生、3年生、4年生は企業から見向きもされなくなる。それは、今の既卒採用と新卒採用の関係から考えても明らかな筈だ。

学生にとってのデメリットはそれ以上に大きい。
本来、大学時代に身につけるべき専門知識や能力を学ぶ時間が、今以上に「就職活動」に取られてしまうことである。高校を卒業して自分の進む分野も明確でない中で、年齢を重なる中で身につけた知識や経験をもとに自分の進む方向性を決めていくことも必要な筈だ。

更に、大学時代は、日本企業に求められる「グローバル」な能力を身につける時間に活用できる筈だ。
欧米の大学では、そういうチャレンジをする学生に対しては、広く多様な能力を習得させる「ワークプレイスメント」の機会を与えている。

これから暫くの間、企業の戦略は「グローバル」になる。
大学も、企業まかせや個人まかせにすることなく、若者の能力向上という視点から、そういう機会を積極化させるべきであろう。
学生生活の中で「グローバル」な視点を身につけることが企業の将来にとっとも有意義な筈だ。
大学4年間は、そういうことのための期間にしてほしい。

大学4年間を、そういうことのために活用する意味からも、「ユニクロ」クラスの影響度の高い企業を検討してほしい仕組みこそ「新卒採用廃止」ではないだろうか。
新卒は一切採用をしない、既卒者のみを期間を決めて採用活動を実施する。例えば、4月~6月の3ケ月でもいいだろう。その期間の中で、採用すべき人材を選考していくことはできないだろうか?
そういう流れを「ユニクロ」のような影響度のある企業が実施することで、他の企業に影響を与えていくことができる筈である。

企業の採用活動が、これ以上、若者の能力を身につけるための障害とならぬよう企業の適切な判断を期待したい。