2010.8.21
21日経新聞。アメリカの雇用政策の記事が掲載されている。その内容は、まさにこれから日本がトレースしていく可能性を含む内容である。どういう記事かというと・・・
「・・実は米企業は国内より海外雇用を優先している。多国籍企業を対象とした米商務省の調査によると、生産・開発を消費地に移した結果、2007年での10年間で海外子会社の雇用は350万人増えた。米国本社の増加はその6割どまり。金融危機でさらにその差が開いた可能性もある・・」
という内容である。アメリカでは、国内で設計を行い開発や製造は海外に委託する形式。日本の昨今の動きは正にこの動きをトレースしている感がある。低い製造コストの実現を目指して、中国、タイ、ベトナム、バングラディッシュ・・・上場企業が海外に進出する記事が新聞に掲載されない日がない位のペースである。
従来は、電機、自動車等メーカーが中心であったが、ユニクロ等の内需型産業の海外進出も目立ってきた。大企業の海外進出によりその下請企業はどうなるのか。体力のある下請け企業は、大企業と同様に海外現地に工場を設置することは可能であろう。しかし、殆どの下請け企業は中小である。体力のない中小企業は、事業の縮小・閉鎖をせざるを得ない。雇用全体が回復しない限り日本の再生はあり得ない。消費が回復しないからである。
アメリカの今の現実が、将来の日本の現実となる日は近い。それに対する雇用政策を今までと同様な施策を実施しても効果は薄い。2つ或いは3つ以上の政策をミックスして初めて効果が上がるのでは。雇用面だけを取ってみても、人を採用する毎に補助金や奨励金を支給するという直接的な施策に殆ど永続的効果はなく、新しい視点からの施策の実施が必須である。
雇用の問題を深堀すると、やはり大学教育、高校教育がポイントになろう。単に、良い大学に入学するための教育は、既に崩壊してきている。知識一辺倒の教育カリキュラムから考える教育、意識を高める教育、将来を見据えた教育・・・が必要だ。
雇用政策が空回りするのは、日本にどういう人材が必要になっているのか、その人材をどう育てていくのか、ということが明確になっていないから。正に、教育政策をどう考えるかということが、雇用を改善する一つの施策になってきている。