Column コラム
社員がしたいこと
2010.4.29

ドラッカーの「マネジメント」を再現した「もし高校野球の女子マネージャーがドラッッカーの『マネジメント』を読んだら」(略称もしドラ)が売れている。昨年末に発売以来、51万部を売ったそうだ。

内容は、ドラッカーの説く経営論を忠実に実践し、普通の野球部を甲子園に連れて行こうと奮闘するマネージャーが主人公として活躍するという設定だ。難しい表現のドラッカーの経営論を高校野球の女子マネージャー(←一応、マネージャーだから管理者か)を通じてわかり易く書かれているところが売れているポイントだろう。

「マネジメント」...単純に考えれば「仕事の管理」となるが、内容は「人の管理」である。人を管理することは人の一挙手一投足を細々とチェックすることではなく、"どのように力を発揮して貰い、仕事を行って貰うことが成果に繋がるのか、その全体の動きを把握する"という意味である。

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人は管理の仕方によって、出てくる成果が異なることを考えると一番良い管理方法がある筈である。それは、どのような管理方法なのかが疑問として湧いてくる。この点をドラッカーは、自分の経営論として述べているし、管理する立場の人が気づいてほしいと考えている部分だ。

成果を出すために、目標を設定し、その目標に対してどのようにアプローチして行くのかを考え、方法が決まれば実施計画を立て実行することになる。その際、その目標を遂行していくために必要な能力や知識は何かが分かれば、育成が必要になってくる。更に、目標に対して、より前向きに、より高いモチベーションをもって取り組んでもらうため、その人が「やりたい仕事」が目標であれば理想的である。

「今の若者は仕事にやりがいを求めている」と「もしドラ」の作者の岩崎 夏海氏も述べている。人は企業の中で最大の資産であるが、それは将来、負債にもなりえるし、新たな資本を生む可能性も有する。ここ数年、不況を背景に、マネジメントの中で肝心の「人材育成」や「やりがい」という言葉の優先順位が下がっているが、今一度、若者を中心とした社員のやりがいを見つめ直し、資産を資本に変えていく必要があるのではと考える。