人事部の皆さん、人材育成では「嵐」を真似してみてはいかが?:日経ビジネスオンライン.
という記事に目が留まった。マーケティングの話と思っていたが、どうやら人事・人材育成の話のようだ。
こういう話はマーケティングの世界では良く耳にする。SMAPやモーニング娘がそうである。話はそれるが、「SMAP」と「モーニング娘」ではマーケティング戦略はかなり異なる。SMAPはジャニーズの男性グループであるし、モーニング娘はつんくがプロデュースした女性グループである。しかし、男性と女性の違い以上にマーケティング戦略に違いがあるのである。
SMAPのマーケティング戦略は、グループと個人の相互作用を利用している。歌やバラエティを中心にSMAPとして活動しながら、個人レベルでは映画やドラマを通じて知名度を上げていく。そして、その知名度のアップと共に個人レベルで掴んだファンをSMAPというグループに持ち帰るという戦略である。この戦略を通じて、当初は若い女性中心のファンから中高年の女性や男性のファンを増やし、今やジャニーズの核となるグループにまで仕立てあげたのである。
モーニング娘はそれとは異なる。あくまでも、ある一定の年齢層の気持ちを掴み、共感を呼ぶことに狙いを定めた。特に、狙いとなる層はメンバーと同じ年齢層のミドルティーンである。普通、女性グループでも男性グループでも、デビューして売れてくるとメンバーの交代を行うことは躊躇しがちである。当然のことだが、メンバーを入れ替えると、入れ替えに伴いファンが逃げていくと考えるからである。ところが、モーニング娘はそのメンバーの入れ替えを頻繁に実行した。人気のないメンバーではなく、まだ人気のあるメンバーにも関わらず入れ替えるのである。そうれはどういうことか....当然のことであるが、デビュー時のモーニング娘はいつまでもミドルティーンではない、デビュー時のファンもいつまでもミドルティーンではない。年齢を重ねるに従って、好みや嗜好も変化し、かつてのファンもファンでなくなることが十分に考えられるのである。入れ替えがなければ、過去の若手アイドルと同様に数年もすると忘れさられる恐れがあった訳である。しかし、モーニング娘は違った。あくまでも、ファンの中心を「ミドルティーン」に置いたのである。そのため、入れ替えを行うことは必然であり、入れ替えを行うことで、モーニング娘そのものをミドルティーンとして維持したのである。
共に、良く考えられた戦略だと思う。音楽業界というのは、こういうマーケティング的な発想をする業界ではないと思っていたが、なかなか見事にまで考えられた戦略だと感心する。
少しわき道にそれ過ぎたので話を本論に戻そう。人材育成の世界で「嵐」の真似をするということは、嵐と同じような戦略を取れということである。特に、昨今の草食系と言われる最近の若者にとっては、望まれる人材育成の形態ではないだろうか。チャレンジングな人材、個性のある人材を望みながら、実際の組織の中では協調性の方が求められる。結果、あまり自己を主張しない、大きな問題もおこしそうにない「草食系」という「殻」を身にまとってしまったのであろう。この「殻」を自らの力で壊し、本来持つ能力や個性を発揮するためには、この「嵐」方式というのは有効かも知れない。