Column コラム
2014-12-23 リベラルアーツ
最近、リベラルアーツという言葉が仕事の中に入ってきています。
言葉としては知っていましたが、いざ、仕事として取り組んで行こうとすると、どのように捉えて行けばいいのか、自分なりにはっきりと定義しなければなりません。

「リベラルアーツ」の起源は、古代ローマやギリシャまで遡ります。
当時、身分制度としては奴隷制が布かれており、「数学的諸学科の自由な学習(リベラルアーツ)」が、「非奴隷」である自由人としての要素として考えられていました。
この流れを受け、ローマ時代の末期の5世紀後半から6世紀にかけて、「人を自由にする学問」、7つの科目からなる「自由七科」(セプテム・アルテス・リベラレス)として正式に定義されたのが「リベラルアーツ」の始まりと言われています。

この自由7科は、言語にかかわる3科目の「三学」(トリウィウム、trivium)とおもに数学に関わる4科目の「四科」(クワードリウィウム、quadrivium)の2つに分けられます。それぞれの内訳は、三学が文法・修辞学・弁証法(論理学)、四科が算術・幾何・天文・音楽になります。

上記のような起源をもつ「リベラルアーツ」ですが、それが日本では「教養」として訳されてしまっています。特に、「藝術」という訳語は、明治時代に啓蒙家、西周によってリベラル・アーツの訳語として造語されたものであり、本来的な意味からはかなり外れてきていると考えられます。

また、教養という言葉から想像されるものとして、大学の「教養課程」があります。
教養課程は専門課程に入る前の基礎教育的な位置づけとされ、大学で誰もが身に付けるべき基礎的な一定の科目群に与えられた名称という位置づけに過ぎません。

このような事実から、どうもこの一般教養の持つ「教養」のイメージと「リベラルアーツ」が混同されて使われているのが今の状況ではないでしょうか。
古代ローマでは、7科目と限定されていたものが、全体を一つの呼称で括ることで漠然としたものになってしまっています。

企業教育の中でリベラルアーツという言葉で教養教育を現すのであれば、その本来を意味を間違えることのないよう、その起源を辿ることで、意味するところを理解する必要があるのではないでしょうか。