Column コラム
2011-11-16

ブラッド・ピット主演『マネーボール』を観てきました。良かったです。

事前のCMや予告編は観て、面白そうな映画であることは感じていましたが、思った以上でした。

野球というスポーツの中でも、古い考え方や慣習があり、それに囚われ過ぎて思うような結果がでない。そういう古い考え方やルールとは全く違う視点から見ることで別のことが見えてくる、ということを気づかせてくれる内容です。

「セイバー・メトリクス」理論。モデルとなったのは、2000年代前半のオークランド・アスレチックス。

高額な年棒で高い成績を残した選手をFAで引っ張ってくることができない球団のGMが取り入れた統計的手法です。この手法を使って、球界で埋もれていた人材やほされている人材を適材適所で活用して、勝っていくというサクセスストーリーが全体の流れです。

どういう方法で人材を発掘していったのか?
具体的には、『打率』の高い打者をFAでスカウトする、試合に出す。これが従来の考え方です。でも、セイバー・メトリクスの考え方の中では、打率ではなく『出塁率』になります。どのようにして塁に出るのかが打率より重要な視点となります。このようにして、新しい視点で選手を活用していくことになります。
当然、監督やスカウトからは猛反対を受けます。しかし、この反対を押し切りながら戦っているうちに、チームは驚異の20連勝を達成します。
次第に、監督や選手たちもイキイキ戦うように変わってきます。

映画の最後のシーンでは、この考え方を評価したレッドソックスのオーナーがこのGMをスカウトするシーンがあります。このGMはアスレチックスに残りましたが、レッドソックスもその後、セイバー・メトリクス理論を導入し、ワールドシリーズで優勝することになります。

後日談ですが、今ではこの理論は各球団にも研究・導入されており、そうなるとヤンキースやレッドソックスという金持ち球団が有利になってくるという構図は変わっていないようです。逆に、スカウトが見て判断するというやり方も見直されているという傾向もあるようです。

映画ではサクセスストーリーで終わっていますが、組織・人事・評価という視点において捉え方を変えることで全く異なることが見えてくるという気付きは、ビジネスの世界でも大いに活用できる方法だと思います。


マネーボール.jpg