2010.4.3
先日、新社会人について、応援コラムを書いたが、今日は、今年、就職活動をしている学生と採用する企業について考えてみたい。
そもそも『就活』がこれ程話題になるのは、3月に卒業した学生を4月に採用する方法=『新卒』が重要という極めて伝統的な日本の採用システムが前提となっている。年齢22歳、23歳位の若者を採用して、その後は年齢と応じて育成・処遇・活用していくという仕組みだ。
この仕組みが成り立つのは、モデル的なライフスタイルを実行できるだけの雇用が必要となるが、その雇用がなくなりつつあるのが現実の問題である。どういうことかというと、国内の労働力の大半が従事している仕事が、海外への移転や国内外へのアウトソーシングにより企業の中から少なくなっているという事実である。これが進展すると、いままでの就職活動の受け皿がなくなるということを意味している。
これは学生側だけの問題ではない、勿論、企業だけの問題でもない。企業は経済合理性に基づき、出来る限り良い製品を安いコストで生産すべく、海外移転やアウトソーシングを進めている。言い換えれば、この問題の本質は、本当にグローバルな時代になる過渡期に差し掛かったというべきであろう。学生も企業も、このグルーバルな流れに対して、逆らうことは難しく、この流れにどのように乗っていけばいいかを考える必要がある。
まず、就職に対する考え方を変える。大学で4年間勉強し、日本の企業のみに就職する考えを変更する。次に何をやりたいのかを考える。自分が希望する仕事が、国内・海外のどの企業で行われているのか、そのためには、今、何が必要なのか、である。既に、殆どの大学でキャリア教育が授業の中に組み込まれている。しかし、それは従来型の就職活動に対する枠内に留まっており、一度、その枠を取り払って、『就職』を見直す必要があるのではないか。
次に企業も採用の考え方を変える。従来型の採用方法で採用者の中から、グローバルな人材を育てようとしているが、いかにも効率が悪い。経済合理性に反している。学生の時からグローバルな視座を持つ人材を採用し、その中から育成すべきである。そういう企業が増えることで、就職する側の意識も変わってくる。
まさに、今回の就活戦線の変化は、従来の『就職』のあり方を変えるチャンスでもある。